発酵式CO2発生装置-減圧防止機能付き

※ 2018.08.10 減圧防止用逆止弁取付方向の画像が逆でした。

 

仮に組立た物です。

CO2の添加について

生体が少なく水草が多い水槽では、どうしてもCO2が不足しがちです。そのためCO2を供給しますが、御存じの通り供給方法として数種類あります。

一般的な方法としてCO2ボンベと発酵式が用いられることが多いと思います。

安価で手軽な方法としての「発酵式」については

メリット

・初期投資が安い

・維持費が安い

・大げさな機器が不要

・二次的な効果として水槽水の透明感が上がる

デメリット

・管理が面倒

・メンテ頻度が上がる

・水槽水が逆流することがある

・見た目が悪い

ではないでしょうか。

 

発酵式CO2発生装置について

メリット

メリットの「二次的な効果として水槽水の透明感が上がる」については、憶測ですが臭いからすると発生ガスの中にアルコール分及び糖分がふくまれており、「枯草水槽」と同じ「バクテリアの発生・活性化」の効果が得られているのではないかと考えられます。

デメリット

デメリットの「水槽水の逆流」は致命的だと思いますし、これが起きると発酵容器が変形することもあります。

これは発酵が止まった時、それまでに生成されたCO2が供給チューブから水槽水に溶け込み、発酵容器の内圧が下がることで起こります。そこで「減圧防止用逆止弁」の登場です。

デメリットの解決方法_逆止弁の利用で減圧防止

CO2供給チューブに「逆流防止弁(チェックバルブ)」を取り付けていたとしても、水やエアーを完全に遮断できるような品質ではないため、水槽水が徐々に発生容器の中に入り込んだり、発生容器に使用するペットボトルが減圧に耐えられない時には、変形してしまいます。

管理を徹底すれば防げる問題なのですが、「長期間家を空ける」「大幅な気温の変動」等でなかなかどうして思ったようには管理できません。

この「水の逆流」「ペットボトルの変形」を何度か経験したため、安心して使える物を考えました。

 

発酵式CO2発生方法では、発生容器に炭酸飲料のペットボトルを用いることが多いと思います。この場合ペットボトルの特性として、「内部の加圧」には強いのですが「内部の減圧」には弱いということがあります。ペットボトルの使用目的からして当然といえば当然です。

そのため加圧時には閉じ、減圧時には開放する弁(減圧防止弁)を付加することで対応させています。

 

多くの方が作成されている「発酵式CO2発生装置」は、CO2供給用のチューブ一本で構成されています。ここに減圧時に開放する機能を取付ると、問題は一気に解決します。

取付方法は何通りかあります。発生容器の蓋まで自作する場合は、逆流防止弁の容器側に付けるか、容器の蓋に付けるかのどちらかになります。

私の場合は、「容器の蓋に付けるチューブジョイント」の接合部の強度がどうしても弱く、チューブの抜き差しや蓋の開閉でエアー漏れ(CO2漏れ)を起こしやすい為、市販の専用キャップを使用しています。但しこれも相性なのかペットボトルとの嵌合が悪い物があり、O-リングを交換しなければならないこともあります。この方法ですと安定して逆止弁の方向を保てるというメリットもあります。

 

考え方は「発生容器内が大気圧以下になった場合、容器内圧を大気圧にする」という物です。この機能を持たせるため、一般的に用いられる逆流防止弁ではなく、「ダイアフラム式」の逆流防止弁を使用します。これを容器内圧が大気圧以上の場合に閉じて、大気圧以下になった時に開放するように取付方向を確認して取り付けることで、機能させています。こうすることで、水槽水の逆流が発生しても水面以上に水槽水が上がることが無くなります。

組立はこのようにします。逆止弁の取り付方向に注意してください。取付方向を間違うと全くCO2が水槽内に供給されなくなり、最悪水槽水の逆流と容器の変形が起こります

CO2デフューザーは使用前にしばらく水に浸けておき、完全に水が浸透した状態にしておきます。これはエアーストーンを利用する場合も同じです。

発酵のレシピとメンテ

砂糖ゼラチンの作り方は「創造の館」さんの記事を基にアレンジしています。私の場合夏場用には500mLペットボトルを使用した場合、上白糖:パウダー寒天:水=170g:1.5g:170gで砂糖ゼラチンをペットボトル内に作り、ドライイーストを1g程度(ゼラチンの表面にまんべんなくかかるぐらい)入れて、ぬるま湯(30℃内外)をペットボトル3/4程度まで入れています。イースト菌の量は多ければ発酵の始まりが早くなりますが、定常状態になると投入量は関係なくなります。

冬場は上白糖の量を多くして(200gぐらい)やわらかくしたり、パウダー寒天の量を減らしたりしています。この辺はパウダー寒天の量を変更したり水の量を加減したり、いろいろと方法はありますので試してみてください。

今はこの方法を取っていますが、ヒメウズラのところで書いてある「えひめAI」を作る段階でCO2が発生するのでこれを利用したり、コメのとぎ汁を利用できないかと考えています。特に「えひめAI」は「ヨモギ」を入れることで消臭効果も期待できるので、生体に影響が無いことを確認し、いろいろと試してみるのも面白いのではないかと思います。

 

使用する砂糖はゼラチンまたは寒天で固めた物を使用すると、発酵の持続時間が長くなります。ゼラチンが残っているのに発酵が悪い・止まる場合には、一度溜まった溶液を流しぬるま湯または水に入れ替えるることで、しばらくすると発酵を始めます。これは発酵菌が自分で生成したアルコールで自滅し始め、発酵が弱まるためです。しかし余程長い間そのままにしない限り生存している菌があり、溶液中のアルコール濃度が下がるとまた増殖してCO2を発生し出します。

 

発酵装置の設置方法

容器の設置場所ですが、気温の低い時期の事と見栄えから水槽の裏側でヒーターの近くに置き、周りをキャンプマット等の保温材で保温しています。さすがに冬季などの気温の低い時には発生量が少なくなりますが、そこそこCO2が発生しますので、お勧めです。但し 状態が見えにくいので、こまめに確認するようにしてください。

 

メンテナンス

メンテナンスは

・発酵用ゼラチンの確認と管理

・デフューザーの清掃

ぐらいになります。

デフューザー関しては、どうしても藻が発生しますので、気泡が大きくなったり汚れてきたときにハイター浸け置きが楽で安全です。よほど放っておかなければ一晩塩素系漂白剤に浸けておけば大体きれいになります。塩素を除去するには太陽に当て乾燥させるか、お湯に一時間ほどつけて温めると抜けます。特にガラス製デフューザーのCO2放出部はデリケートですので、ゴシゴシ洗うとつぶれてしまうので、注意してください。

 使用する発酵容器は十分強度があり、傷等の損傷の無い物を使用してください。最悪破裂することも考えられます。

 使用に当たり、水漏れ・エアー漏れには十分注意し、もし障害が発生しても支障が無いようにしてからお使いください。

 製作・使用に関しては、自己責任でお願いします。製作・使用中の事故・けが等について、当方は一切責任を負いません。

 

ー こんな当たり前のことを記載しなければならない国になったことは、さみしい限りです。(「じさま」の独り言)ー

 

 2018.08.10 訂正;ある方のご指摘で、減圧防止用逆止弁の接続方向が逆だったのが判り訂正しました。説明に関しては問題ないと思います。

 修正したマニュアルをpdfファイルでしばらく公開しておきますので、必要な方はDLしてお使いください。

お手数をお掛けします。

訂正済み_発酵式CO2発生キットマニュアル