水槽用にLED照明を作る場合、「LEDテープ」を使うことが簡単ですが、自己発熱で膨張・収縮を起こすうえ、両面テープの粘着力が落ち浮き上がることがあります。また「防水型」の場合長期間使用してゆくと、封印する樹脂にクスミ・黄変が生じて光量が落ちてしまいます。

 そのため「星形アルミ基板付LED」を使用し、照明器具全体で放熱するように筐体をアルミで製作することにしました。

 LEDを使用するうえで寿命が気になると思いますが、寿命は熱による劣化に起因すると思われますので、標準電流の1/2~2/3以下で使用する方が良いと考えています。またこうすることで「Vf 順方向降下電圧」を低く抑えられます。

LEDの電流vs照度比較

 LEDの照度を比較してみました。Nikon Dfでマニュアルモードで撮影しています。

 点灯は定電流で連続点灯させています。1W・3Wの同時点灯は直列接続にして同一電流で点灯させています。

撮影条件は次のように決めました。

  • 最初に点灯させずにマニュアルフォーカスで焦点を決める。
  • 一番明るいであろう3WLEDを700mAで点灯させ、プログラムモードで撮影する。
  • 撮影条件を確認し、近い値を固定条件とする。

 上記の結果、f=5.6,ISO=400,S/S=1/50でしたので、f=5.6,ISO=400,S/S=1/60としました。焦点距離は80mm固定です。

 LEDはアルミ放熱器に固定し、左側が1W・右側が3Wです。

照度比較ー1W&3W

照度比較ー1W&3W

 

 2個同時点灯させてみると、目視では1Wと3Wとで照度に差は感じられませんでした。

照度比較3W vs 電流

照度比較3W vs 電流

 

 また 3WLEDで電流を変化させて照度の違いを見て見ましたが、思ったほど差は感じられませんでした。

仕様の決定(仮)

 以上の結果と、LEDの発熱に関する “ 1W ハイパワーLEDは熱い? ” の記事から、発熱を抑えるため電流は200mAとしています。1W型と3W型では接合部の耐電流の違いがあると考えられるため、寿命を考慮して3W型のLEDを使用するつもりですが、20cmキューブ水槽用LED照明は実験的に1W型と3W型を混在させて作成してあります。

 ここでLEDは温度が上がるとVfが下がり、逆に酸化皮膜抵抗は、温度が上がると抵抗値が増します。ふつう用いる炭素皮膜抵抗は、温度が上がると抵抗値が下がりますので、注意が必要です。

 

 実験的にIf-Vf特性を確認した結果は次の通りです。共にワームホワイト(WW,3000k)

 電流   1W 3W
  20mA; 2.7V  2.7V
  50mA; 2.8V  2.8V
100mA; 2.8V  2.8V
150mA; 2.9V  2.9V
200mA; 3.0V  3.0V
250mA; 3.1V  3.1V
300mA;   -    3.1V
350mA;   -    3.2V
400mA;   -    3.2V
500mA;   -    3.4V
600mA;   -    3.5V
700mA;   -    3.6V

 LEDの接続方法と結線ですが、If=200mAとするとVf=3Vです。電源はACアダプターを使用しますが、一般的に流通する物は12V・16V・18V・24Vです。この中で電流の選択肢が多い物は12V・24Vです。配線を簡易にするため直列に繋ぐLEDの数を多くするには24Vが適していますので、電源電圧は24Vとしました。

 電流制限をどの方法を取るかになりますが、定電流電源にするのが一番なのでしょうが、今回は確認試験的な物ですので、簡単なおかつ安価な方法を取って「電流制限抵抗」で行いました。

 電源電圧が24VでIf=200mAの時Vf=3.0Vですので、これを基に考えます。

20cmキューブ水槽用照明製作

 「ホウネンエビ」用の照明は一日11時間点灯させていますので、耐久性試験になると思います。直列結線されているため、どれか一つが切れても消灯するため気が付きやすいと考えています。

 LEDの配列は放熱基板付PowerLEDを3W(WW)+1W(WW)+3W(Full)+3W(WW)+3W(Full)+1W(CW)+3W(WW)と7個直列接続し、酸化金属皮膜抵抗15Ω2Wを介し、DC 24V出力のAC-DCコンバータで点灯させています。この時200mA内外が流れていると思われます。

 食卓の端に設置しており、やっつけで作った照明が貧弱(汚い)ので、カミさんの心象も悪いと思いますので、少しでもまともな物に変えたいと思います。

点灯条件

 電流は200mAとするための電流制限抵抗の抵抗値を決めます。1WLEDのVf=3.0V,3WLEDのVf=3.0Vとして抵抗値を決めてゆきます。LEDによる電圧降下は3.0V x 7=21.0V、電源電圧は24Vですので電流制限抵抗はR=(24-21)/0.2=15Ωとなります。

 用いる抵抗の消費電力はI2 x R=((24-21)/15)2 x 15=0.6Wとなります。一般的に許容電力は1/2以下にしておくため、余裕をもって2Wを使いています。

 使用する抵抗の種類ですが、一般的には炭素皮膜・金属皮膜・酸化金属皮膜の3種類が用いられます。このうち炭素皮膜抵抗は温度が上がると抵抗値が下がる特性ですので、少々高価になりますが金属皮膜または酸化被膜を使用する方が安心です。

筐体の製作

 部材は極力規格品を使って製作します。

・ アルミフラットバー:長さ205mm 巾50mm 厚み3mm 1本

・ 不等辺アルミチャネル:長さ205mm  20x12mm 肉厚2.0mm 2本

・ 等辺アルミアングル:L50mm 15x15mm 肉厚1.5mm 2本

・ ガラス:長さ185mm 巾45mm 1枚(厚み 2mm程度) ※確定後に設置予定です。

・ ネジ:M2.5 x L5ナベ小ねじ 8本,M2.5xL5皿ネジ 4本,M3xL25ナイロンナベ小ねじ 6本

・ LED固定用ネジ:M2.5xL5ナベ小ねじ 14本,絶縁ワッシャー 14枚

図面

20cmmキューブ水槽用LED照明_外観図

20cmmキューブ水槽用LED照明_外観図

 

外観図pdf


 

部品図(加工図); 天板pdfチャネル&アングルpdf

画像

今後の計画

 現在点灯方式は「電流制御抵抗による定電圧方式」で簡単ですが、最終的には「定電流PWM方式」にしたいと考えています。300時間(約一か月)点灯した結果を踏まえて再度チャレンジするつもりです。今から発注すれば各モジュールも入手できるかなと思います。

 また LEDの色についても「ホウネンエビ」には、ワームホワイト(WW,3000k)でも良いと思ますが、「エビ」や「水草」にはナチュラルホワイト(NW,4000k)やクールホワイト(CW,6000k)とディープレッド(660n)の組み合わせの方が望ましいようですので、これについても実験してみたいと思います。

 現在使用しているLED照明はクールホワイト(CW,6000k)とブルー(480n)の組み合わせで赤色が足りないため、モスがヒョロヒョロになってしまっているのではないかと考えています。