LTSpiceで他社Modelを使用する方法は数種類あるようですが、今回PchMosFETの“AO3401A“を使う必要が出てきて、やっと使えるようになったので、その方法を備忘録として記載しておきます。

今までは適当にスペックの近い素子でお茶を濁していましたが、今回車に使用するため簡単なMosFETのハイサイドスイッチですが、“適当”というわけにはいかなくなり、何とか二通りで使えるようになりました。
一つは汎用モデルを使用して“.Include”で素子の仕様を記載する方法、もう一つは“シンボルファイルを自動で生成する”方法になります。

汎用モデルを使用する方法

汎用モデル使用

汎用モデル使用

 

“けん”さんの「e-DIYで行こう!」の“LTspiceでMOSFETにSPICEモデルを適用してシミュレーションする方法”を参考にしましたが、初心者の私の場合“記述方法”が解らず四苦八苦しましたので、そのあたりについて触れておきます。

      URL;https://blog.goediy.com/?p=827

 

 

DLしてきたSpiceModelの格納場所ですが、私はCドライブに以下のホルダーを作りました。
      C:/Data/LTSpice.Lib/FET/

ここにDLしてきたAO3401AのSpiceModelを格納するのですが、DLした直後のファイルは“AO3401A.mod”となっていますので、解り易くするため“AO3401A.lib”と拡張子を変更して以下のように格納しておきました。
      C:/Data/LTSpice.Lib/FET/ AO3401A.lib

シュミレーションする回路を作成しますが、FETはPchMosFETですので、汎用シンボルのpmosを使って作成します。

作成した回路上に“.include”文を記述するのですが、記載方法は画面右上にある“Aα”をクリックしてテキスト文で記述します。
この時エディター中の“How to netlist this text”の“SPICE directive”を選択しておき
“.include C:/Data/LTSpice.Lib/FET/ AO3401A.lib ”と記述します。
“OK”で抜けると、記述した文が回路上に作成されるので、邪魔にならないところに貼り付けておきます。

次にシンボルにSpiceModelを適用させるための作業を行います。
この時 Prefixを[x]とすることと、ValueにはDLしてきたAO3401A.libに記載されている、
.SUBCKT AO3401A 4 1 2
の“AO3401A”を書いておきます。これが回路上でMosFETのシンボルに名称として表示されることになります。

汎用モデル_動作確認

汎用モデル_動作確認

 

後はいつも通のシュミレーションが、DLしてきた“AO3410A”を使って行えるようになります。

シンボルファイルを自動で生成する方法

“ワレコ”さんの「われこ われこ」の【ワレコ電子回路】にある“LTspiceで東芝NMOS FET(π-MOSⅣ)TK1P90Aのスパイスモデルを使う【他社製】”を参照させて頂きました。

      URL;https://www.wareko.jp/blog/using-toshiba-nmos-fet-spice-model-with-ltspice

こちらでは“Nch Mos FET”を例にされていたため、今回使用した“PchMosFET”Pin配列が解らず、四苦八苦してしまいました。最終的には何とかなりましたが、“NetList Oder”を何度も入れ替えてのシュミレーションを行い、結構疲れました。

解り易く解説されていますので、私が躓いた箇所を記載しておきますので、参考にしてください。

たぶんこちらで採られている方法が、使いやすいかと思います。

前述と同様にDLしてきたSpiceModelを使いました。
今回のファイルも拡張子を.modから.libに変更しました。変える必要があるのかどうかは分かりませんが、格納場所は前回と変えてあります。

“ドキュメント”ホルダーにある“LTspiceXVII”に格納するのですが、説明にある“AutoGenerated”ホルダーが見つからなかったので、新しく作りました。また 今後様々な素子が増えることを見込んで“AO3401A”のフォルダーを作って格納しておきました。作業後“AutoGenerated”を見てみると、“AO3401A.asy”は“AutoGenerated”直下に作成されていました。

そのまま作業を進めて行ったのですが、Pinが解らなく四苦八苦してしまいました。

“シンボルマーク自動生成”機能で作成直後のシンボルのPin番号は、“.subckt”で記載されている数字で表されています。後で考えると、“ワレコ”さんの記事をよく読めばわかることなのですが、直感的に感じる物と、全く違って配置されています。
“ワレコ”さんが使った「TK1P90A」のファイルにはPin Assignが記載されていますが、「AO3401A」には記載がありません。

最終的には、どうも“NetList Oder”が決め手のようで、“ワレコ”さんが書かれているように、NetList Oder:1がドレイン[D],NetList Oder:2がゲート[G],NetList Oder:3がソース[S]で落ち着きました。

今回用いた“AO3401A”については、生成されたPin番号4はNetList Oder:1ですからドレイン[D],Pin番号1はNetList Oder:2ですからゲート[G],Pin番号2はNetList Oder:3ですからソース[S]となりました。

Pch MosFET_AO3401Aー生成直後

Pch MosFET_AO3401Aー生成直後

 

生成された直後のシンボルを見ると、4がゲート,1がソース,3がドレインに見えてしまうのは私だけでしょうか?

自動生成_動作確認

自動生成_動作確認

 

以上で追加終了ですがこの方法で作成した場合、素子の選択は品名を入れて選択すると簡単に出来るので、重宝すると思います。

使い勝手を考えると、“ワレコ”さんがやっておられるように図記号に変更しておいた方が良いと思いますが、とりあえずはこのシンボルで使います。

所感

今回LTSpiceでシュミレーションしたのは、ルーミーの“車内灯点灯制御”を作るために必要になった“ハイサイドスイッチ”検討のためです。
最終的には確認回路を組んで動作確認する必要がありますが、前段階として検討するうえでシュミレーションできることはとても有効だと思います。
40年以上前かかわっていた仕事に、このように手軽に使える物があればとも思う、今日この頃です。