やっとLED試験用定電流電源を作りました。

完成

完成

 

 LEDを使ううえで色味やVfを確認するため定電流電源を作ろうと思い、何か良い物は無いかとWebを徘徊していると良さそうな物が見つかりました。紹介されていたのは「マルツ」さんのところでURL;https://www.marutsu.co.jp/contents/shop/marutsu/mame/123.htmlにある“基準電圧IC 使用レポート「簡易定電流装置の制作」”という記事です。ここで紹介されている物をアレンジして作ることにしました。

 

 回路はいたって簡単ですが、ロータリースイッチの手持ちが無い為ピンヘッダーで代用しています。また電池で駆動すると昇圧回路等を使用する必要も出てくるため、AC-DCコンバータを使うことにして、スイッチを追加しました。本来であればツェナーやサージキラーを追加した方が良いのでしょうが、これも手持ちが無く極小電力の為パスしています。

仕様

 電流は1・3・5・10・15・20mAの6種にしましたので、電圧は2SA1015とLM358の耐電圧から24V以上も大丈夫ではないかと思いますが、とりあえず車載を考えても必要な15V程度は大丈夫だと思います。
 電流値を決めるために必要な抵抗は、手持ちの金属皮膜抵抗1/4W 1%を使いましたが30年以上前にそろえた物で、E24系列の物です。そろえるのであれば炭素皮膜抵抗の方が安価ですが、後々を考えると価格差もあまりない為(抵抗よりも送料の方が高いので・・・・・)金属皮膜抵抗がお勧めです。

 使用する電流設定抵抗値に関しては参照した記事に書かれていますが、私が用意した物は以下の物です。

 1mA → 2.5k=1K+1.5k ;直列接続
 3mA → 833=820+13   ;直列接続
 5mA → 500=1K+1k     ;並列接続
10mA → 250=150+110;直列接続
15mA → 167=120+47  ;直列接続
20mA → 125=110+15  ;直列接続

以下については計算のみです。

※40mA → 62.5=120+130;並列接続
※50mA → 50=100+100   ;並列接続
※60mA → 41.7=22+20    ;直列接続

抵抗値_カラーコード

抵抗値_カラーコード

 

 ここで注意が必要なのは「抵抗値はカラーコードで表記されている」ことです。1%の抵抗の場合、今回使用した中で1KΩは「茶黒黒茶茶」で110Ωは「茶茶黒黒茶」で表されますが、老眼では1%を表す「茶(若干太い)」と1を表す「茶」の区別がつけにくく、物によってはルーペで拡大してもよくわからない物もあります。本来精度を表すカラーは太く塗られているのですが、なかなかどうしてすべてがはっきりわかる物とは限りません。

 それ以外についても「灰色(8)」と「紫色(7)」等もわかりにくいですし、確認のためテスター等で最終確認が必須だと思います。

 

 使ったのはスルーホールのユニバーサル基板を切断した物です。ユニバーサル基板の切断方法は色々と紹介されていますが、私の場合は大き目のカッターナイフで蛇の目を繋ぐように深めの傷を裏表に付け、その傷に沿ってV字の溝になるように再度カッターで削り取ってから折るようにしています。短く折るときは、ペンチやプライヤーを使って端から少しづつ折っていくとうまく折れます。

 連続点灯や押している間だけ点灯するように、スライドスイッチとタクトスイッチを並列に付けました。また 電源を外部電源にしたことで、複数のLEDを直列点灯出来る様にも出来ます。これは車のLED化では重宝すると思っています。

 例えばプログレの車内灯LED化で使用するFluxLEDの色味の比較や、表面加工の効果確認等同一電流での点灯比較ができます

 もし「電池駆動」にしたい場合は、昇圧型のDC-DCコンバータが必要になりますが、この程度の電力であれば大陸製の安価な物でも十分使用に使えると思います。

いざ製作

 ここから回路の制作になりますが、部品の半田付けが結構煩雑ですので、ユニバーサル基板を使って製作するときの私のやり方を紹介させてもらいます。

    1. 実体配線図等を作り、配置を決定する。(出来る限りジャンパーが少なくなるように)
    2. 成形した基板にスタッドを取付る。(当たり前ですが、基板の配線面に出る部品のリード線の長さより長いスタッドを用意する。)
    3. 配線図に基づいて部品を配置する。
    4. 部品の配置が完了した後、再度配線を確認する。(特に表裏に注意して)
    5. 部品面から半田付けが可能な物は、出来るだけ少ない半田で部品を仮止めする。
    6. 裏側からだけしか半田付けできない物(ターミナル等)を仮止めする。
    7. 配線面に盛り上がってしまった、余分な仮止め用の半田を半田吸取り線等で除去する。
      ※ 半田吸取り線での半田の吸取り方ですが、初めての方はなかなかうまくできないという方が多いのではないでしょうか。たぶんその場合、半田吸取り線を巻き付けてあるまま半田吸取り線を吸取り部に当て、半田ゴテで温めているのではないでしょうか。この場合半田吸取り線が温まらないため半田を吸い上げられません。半田吸取り線を短く切取、吸取りたい半田部に半田ゴテで押し付けて半田を吸取らせます。
    8. 余分なリード線等を使って配線をする。
      ※ 配線をする場合、私の場合もそうですが、「すずメッキ線」を使うことが多いと思いますが、半田のノリが悪く苦労されていると思います。一般的な部品のリード線は「半田メッキ線」ですので半田のノリが良く、半田付け不良の確率が下がります。これから配線材を買われる方は高価ですが「半田メッキ線」を購入されることをお勧めします。Φ0.5mm前後が使い勝手が良いと思います。あまり一般的ではありませんが、近頃は「秋月さん」や「オヤイデ電気さん」で取り扱われるようになったようです。私は余ったリード線を使いまわしています。
    9. 配線ミスが無いか確認する。
    10. 配線に間違いが無いことが確認出来た後、仮組して動作を確認する。
    11. 半田面を中心にエタノールやIPA等で、フラックスや余計な半田屑を洗浄・乾燥する。
    12. 必要であれば絶縁処理等を行い組み立てる。

 以上が私の基板制作手順になります。

 配線を終え、電源を9Vとして白色LEDを点灯させてみます。電流値を確認するためLEDと直列に10Ω 1/4W 1%の抵抗を入れ、抵抗の両端電圧を確認してみました。

 結果は結構いい線いっているようです。

 1mA →  10.0mV
 3mA →  31.1mV
 5mA →  51.9mV
10mA → 103.4mV
15mA → 156.8mV
20mA → 0.206V

 安物のテスターでの確認ですが、しっかりしたマルチメーター等があればよいのですが、アマチュアではこの程度で良いのではないかと思います。

 ここでLEDを3個直列にしてみると、当たり前ですがLEDが点灯しません。白色LEDのIF=20mA時のVF=3.0~3.8Vのためです。試しに電源電圧を12Vに変更して再度点灯させてみます。今度は設定電流が流れLEDが3個共点灯し、正規の電流が流れました。

※ 一例ですが手持ちのLEDの内、白色・赤色の電流毎のVfを測定しましたので、参考にしてください。共に定格20mAの物です。

    If  白色LED 赤色LED
 1mA  2.64V       1.74V
 3mA    2.74V         1.78V
 5mA    2.80V         1.80V
10mA   2.90V         1.84V
15mA   2.98V         1.87V
20mA   3.04V         1.89V

完成後の感想

 今回作った電源についてですが、以下に回路図・部品表・実体配線図等を以下に載せておきますので、必要な方は配線の参考にしてください。今回は電流の切替をピンヘッダーで行いましたが、使い勝手を考えればロータリースイッチの方が断然使いやすいと思います。秋月さんで取り扱っている「ロータリースイッチ 1回路12接点」は必要な回路数を設定出来、次回何か秋月さんで購入するときついでに買ってみようと思います。

 また 電源にACアダプタを使いましたが、昇圧型のDC-DCコンバータを使いタカチさんの電池ホルダー付きケースに組み込むと使い勝手が上がりそうです。

使用部品

オペアンプ:LM358
トランジスタ:2SA1015
シャントレギュレター:TL431-2.5
コンデンサー

C1:0.1uF / 50V(積層セラミック)

金属皮膜抵抗 1/4W 1%

R0:5.1k or 4.7k
R1-1:1.1k
R1-2:1.5k
R2-1:820
R2-2:13
R3-1・R3-2:1k
R4-1:150
R4-2:100
R5-1:120
R5-2:47
R6-1:110
R6-2:15

ユニバーサル基板
オペアンプ用ソケット:8Pin
ピンヘッダー: 6Pin x 2列
ジャンパーピン
タクトスイッチ
基板用スライドスイッチ
基板用ターミナルブロック:2極 P=5.08
電源コネクタ:2極
※スタッドボルト:4Set(配線時に使用)

回路図・自体配線図及び写真