購入のいきさつ

秋月 8ch 10bitデータロガー

秋月 8ch 10bitデータロガー

 

 「LED照明」を作るうえで電源ICやLEDの温度上昇を確認するため、データロガーが必要になりました。「温度ロガー」を購入すればよいのでしょうが、後々「温度」のデータ取りの利用は少ない為、汎用性のある「電圧ロガー」を購入すことにしました。

 以前購入した「PICAXE(ピカクス) ミニオシロ」でも良いのですが、使用する際にPCを動かす必要があり、スタンドアローンで使用できる秋月さんの「10bit 8chデータロガー」を購入しました。

 サンプリングが遅いのですが、速い物をとるときにはオシロを使えば良いと割り切ります。しかし内蔵メモリーのみで、データを取り終えた後のPCにシリアル通信でデータを取り込む仕様となっており、出来ればメモリーカードやUSBメモリーでのデータ集積が出来る様になれば良いのではと思います。

 

動作確認等

 それはさておき9Vの電源を繋ぎ、付属する「確認ボード」で動作を確認します。この辺については諸先輩方の記事が参考になります。ググれば簡単に探せると思いますが、私が参考にさせて頂いたのはLikiponさんの「自作もの日記 “AE-LOGGER”」(URL;http://www.likiwiki.info/2012/01/ae-logger.html)や、「下手の横好きのスクラップブック!!“「8チャンネル10ビットデータロガー」のテスト”」(URL;https://blog.goo.ne.jp/mkidmtr70/e/a8cf69c0b5cf2c058d9f877459e1f768)などです。

入力ボードの制作(付属動作確認ボードの改造)

 正常に動作することが確認できましたが、今回「K熱電対」を使って温度データをとるにあたり、ロガーへの入力を工夫しなければなりません。この辺についてはあまり詳しく説明されているサイトが見つからなかったため、ここからは我流になります。入力ボードを作ろうかと思いCADで書いてもみましたが、ひとまず付属の「動作確認ボード」の改造で対応することにしました。

 「K熱電対」は某国性のAD8495を使った「K熱電対用アンプ」を使い入力することにしました。このアンプは熱電対の出力電圧を5mV / 1℃とし、20℃の場合出力電圧Vout=20x5mV+1.24V=1.34Vとなります。ここで問題なのはアンプの出力が5mV / 1℃なのに対し、データロガーの内部基準電圧を使った場合、データロガーの分解能が4.57mV / 1bitになることです。

 できれば1℃ / 1bitと判り易いデータにしたいので、付属の「動作確認ボード」を使って入力できるようにしました。方法はアンプの出力電圧をVR(ポテンショメータ)で分圧し、データロガーの入力アンプをボルテージフォロアー(x1倍)にして受けることにします。VRは10kΩを使用しましたので、最大値より1回転CCWにまわしたあたりでよいはずです。
 本当は差動入力にして+1.24Vを減算しきれいなデータにしたいのですが、PCにデータを取り込んだ後に表計算で換算すれば済むので、今回はそのままにしています。

 使用予定の「K熱電対用アンプ」の電源電圧は3~18Vとのことなので、確認ボードに出力されている5Vを流用できるようにしました。使用電力は1mW(?)とのことなので、問題ない消費電力レベルでしょう。

 入力は3chで良いのですが、4ch分としました。使用したchは4・5・6・7で電源供給は3chから取り出しています。また2・3chは元から載っているVRをそのままにしてあります。最終的にはAD+・AD-・ADを自由に接続できるようにターミナルブロックをポテンショメータ用のパターンに取付けたいと考えています。

 基板に確認用に乗っているch0のLM35の部分は室温確認として利用しました。この温度計に関しては色々と言われているようですが、ま それほどシビアな物ではなくあくまでも参考ですし、発注してある「K熱電対用アンプ」が届けばそれを室温監視にするつもりです。(通常1ケ月で入手できると思いますが、この状況(新型コロナウィルス騒動)では2ケ月でも届かないかも)ではいつになることやら。

改造実践編

 それでは確認ボードの改造です。まずVR(ポテンショメータ)用の配線を変更します。変更といってもパターンの切断と繋ぎ換えです。それが終われば電源取り出し用とアンプ入力用にターミナルを取り付けます。配線の確認が済んだ後、基板のフラックス等をIPAで洗浄乾燥し、再度エタノールで追加洗浄しておきます。IPAが良い物ならIPAだけで良いのでしょうが、「ガソリンタンクの水抜き剤」の流用ですので、念のためエタノール(と云っても消毒用ですが・・・・・)で再洗浄しています。

回路図とパターンカット

 この改造に必要な付属「動作確認ボード」の結線図とデータロガーの受側の回路図と、パターンカットの部分について私なりに調べた物を載せておきます。

動作確認ボード部品面_改造後

動作確認ボード部品面_改造後

 

本体基板の加工 リード線カットと半田処理のやり直し

 

 ここまでしてデータロガーの基板についてあることに気が付きました。LCDの取り付けと部品の足の処理です。特に立って半田付けしてある抵抗(R11-R23)の取り付けが気になりますし、基板裏の各半田付けされた足が切断していない物が見受けられます。この際ですので、全て直しておくことにしました。

 まず外せるすべての半導体やモジュールを外します。外したものはいったん購入した際についてくる導電性スポンジに刺しておきます。特にEEPROMには注意が必要です。

 次にLCDモジュールの基板を短くします。正面右側のパターンが無い部分を1mm内外やすりで削り、シリアルコネクタにはまるようにします。この時LCDモジュールはマ養生テープで保護しておき、ヤスリで少しづつ削りました。

 再半田処理する抵抗は出来るだけ低くし、ショートを防ぐ様にしますが半田付けされている足が曲がっていたりするので個々の状況に合わせて処理してゆきます。私の場合はまず半田を除去し、抵抗が基板に密着するようにしておき片方の足を仮半田付けし、他方の余分な足を切った後本半田を行いました。この時長いリード線は保護チューブの先端が基板に付き隙間が無いようにリード線の長さを調整しておきました。

「動作確認ボード」の追加工

 実際に改造した「動作確認ボード」を取り付けてみると、入力設定用ジャンパーを設定することが出来ません。「動作確認ボード」のパターンを見て見るとジャンパーを覆っている部分にはパターンがありませんので、OLFAデザインナイフに専用鋸歯を付けて切り取りました。切り取る大きさは幅約4mm 長さ28mmで済みました。

 

 抵抗の再半田処理が終了後、基板の裏側やモジュールの余計な足をニッパーで切断し、フラックスの洗浄を行い、乾燥後全ての半導体やモジュールを取り付けて終了です。

確認ボード付き寸法図

確認ボード付き寸法図

 

 後は基板がショートしないようにスタッドボルトで基板を浮かせて仮使用します。できればケースに入れておくようにしたいと思います。ケースを作るうえでこのデータロガーの寸法を私なりにノギスと物差しで採寸しておきましたので、ケースを作る際に参考にしてください。

PDFでも載せておきます。20.03.09_h29

 

エンコーダのつまみ

エンコーダのつまみ

 

 また ロータリーエンコーダが動かしにくいとの話も散見されましたので、対応軸Φ6mmのつまみを使いました。某国の安い物で、ねじ止めではなく圧入タイプの物なので芯ブレがありますが、結構使い勝手が良いようです。

 

改造後の動作確認

 作業完了後、「動作確認ボード」のLM35を使って正常に動作していることが確認できました。

 ここでの温度確認についていろいろと言われているようですが、うまく動作しなかった方は、「動作確認ボード」に使用されているVR2がCWまたはCCWへ回し過ぎているためかもしれません。このポテンショメータは多回転型ですが、どちら方向へも何回転でも回り反対方向へ戻しても回し過ぎた分を戻すまで正常動作にならないようです。私もこのことに気が付かずしばらく悩みました。

 今回付属する非反転増幅アンプの増幅を、ほぼx10にして20.0℃を200となるようにします。データロガーの説明書中の「動作確認ボード」説明にあるLM35入力図から回路図を書き、その中のVR2を抵抗に置き換え接続ピンを追加した物です。ゲイン調整のVR2はアンプが非反転増幅のため、増幅率はx1以上で理論的には無限大まで調整可能になっています。

設定方法は

  1. 「動作確認ボード」をデータロガーから取り外す。
  2.  AD0(Pin 5)-GND(Pin7-10のどれか)間の抵抗値を測る。
  3. AD0-(Pin 3)-GND(Pin7-10のどれか) 間の抵抗値を、2.で計った値の1/9の値になるよう(12kΩ程度)になるようにVR2を設定する。
    (しばらく回さないと変化しない可能性が高いと思います。いくら回しても変化しない場合は逆方向にまわしてみてください。)
  4.  温度計で室温を調べる。
  5.  データロガーのジャンパーCH0をオープン(ジャンパーピンを外す)にしておく。
    (ご存知の方が多いと思いますが、ジャンパーピンは片側だけに刺しておくと、なくす確率が減ります。)
  6. 「動作確認ボード」をデータロガーに取付ける。
  7.  データロガーを立ち上げ、CH1→ON,Loge→ONとし、エンコーダでC1(CH1)を表示させる。
  8.  C1の値が室温x10になるようにVR2で調整する。

 

 以上のようにするとうまく表示できるようになると思います。実際に動作する(温度に追従しているかどうか)かは、LM35を指でつまみ温度が変化したら離して、徐々に室温に近づくことで確認できます。

LM35入力回路図

LM35入力回路図

 

 LM35の実際の回路と、VRをRに置き換えた物の回路図を載せておきますので、参考にしてください。

今後の予定

 発注済みの「K熱電対用アンプモジュール」が到着したら、つなぎ込みをし実使用する予定です。この際ですから使い勝手を良くするため「差動アンプ」や「基準電圧源」等を組み込んだ「入力ボード」を作ってみたいと考えています。さすがにユニバーサル基板ではきついでしょうから、基板を発注してみたいと思います。それまでにE-CADを使いこなせるようにしなければなりませんが、「DegingSpark PCB」を考えていますが、Ver9は如何なのでしょうか?Ver8に関しては情報も豊富ですが、Ver9に関しては殆んど情報が得られません。使いだしたのがVer8.2ですので、Ver9に変更するのであれば早めに変更したいと思います。何せ「じじい」ですので新しいことになれるのに時間が掛かるので・・・・・

コントロールソフトのインストールと設定 2020.04.28追記

 以前購入した秋月電子さんのデータロガーですが、やっと使うことになりました。その時PCにデーターを取り込む際に使用するソフトのインストール&設定で戸惑いましたので、私が行った方法をお知らせします。
 使用したPCはHPの「ProBook 430G2」、接続ケーブルは秋月電子さんの「FT232 USBシリアル変換ケーブル VE488」です。

1.     VE488のドライバーをダウンロードします。
 詳しくは秋月電子さんのVE488の質問欄に記載されていますので、「FT232系のVCPドライバ」(CDM21228_Setup.zip)をダウンロードします。
2.     ダウンロードしたドライバーを解凍します。
3.     変換ケーブル「VE488」はPCに接続しないで、ドライバーセットアップを行います。
4.     一度PCを再起動します。
5.     変換ケーブル「VE488」・データロガー・PCを接続し、データロガーの電源を入れます。
6.     データロガー用ソフト「k-00189_disc」の「win」の中にある「setup.exe」を実行します。
7.     一度データロガーの電源を切り、PCを再起動します。
8. データロガーの電源を入れて、「logger.exe」を起動します。
 私の場合、データロガーの電源を入れた時、データロガーがうまく起動できない状況になりました。この場合「電気電子工作の部屋」さんのHPにもあるように、「バックアップ用二重層コンデンサ DB1」の足をショートし放電すると正常に動作しました。
 ソフトを起動したときに「COM1が接続できない」旨の表示が出ましたが、データロガーソフトの「PC通信設定」で「COM1」を「COM2」にしてもダメで、「COM3」にしたところ通信が確認できました。

データロガーコントロールソフト

データロガーコントロールソフト

 このデータロガーは使い勝手が良さそうですが、私の場合電源の入・切を行った時に結構な頻度でうまく起動できなくなり、DB1の放電を行う必要があるようです。そのたびに裏返してDB1の放電を行いますので、「放電用SW」を追加するつもりです。

シリアルコネクタ補強 2020.05.05追記

 LEDの駆動ICとLEDの点灯時の温度上昇を確認している時、データロガーからPCへデータを取り込む時に、何度もコネクタの抜き差しをしていると、コネクタが結構動くので不安になりましたので、取付の補強をしました。

 使用したのはM3のネジですが、結構しっかり押さえることが出来ましたので、このデータロガーを使う方は実行された方が良いと思います。