PIC書込みアダプター

PIC書込みアダプター

 

PICの書き込みアダプターを何種類か使ってきましたが、そろそろ自分なりの物を作ろうということで、一般的な8 / 14 / 18 / 20 / 28 / 40Pinに対応した物を作ってみました。
この基板が出来るまでに2回作り直しが入り、結構時間が掛かってしまいました。

仕様としては

1.PicKit3とMPLAB Snapに対応(PICKit2やPICKit4にも対応可能のハズ)
2.PCとUSB-Aで接続し、PIC書込み器に接続する
3.Vdd供給はPicKit3からの供給と外部からの供給
4.Vdd外部供給はPCのUSBからの電源で行う
5.外部Vdd供給電圧 5V / 3.3Vの切替
6.書き込むPICへのVdd供給のON / OFF機能

になります。

このうち“書き込むPICへのVdd供給のON / OFF”は必要ないかもしれませんが、どうも取付・取外し時に、PICに電圧がかかっていると気持ちが悪いので取り付けています。
外部からの書き込み電圧VddはUSBから取り込んでいますが、PIC書込み器で使用する電流は150mA内外ですので、書き込み時のPCのUSB電源への負担はないと思われますし、別電源を必要としないので使い勝手が上がると思います。
書き込むPICに合わせて切替が必要になりますが、書き込むPIC毎にコネクターを使って一発で切り替えるようにしました。
PICの取り付けは40PinのZIFソケット(幅600mil)を使っていますので、SOPに書き込む場合はZIFソケットに直接SOP用アダプターを載せることで書込み可能になります。

回路図

回路図

 

作ったアダプターの回路図はこのようになっています。
※ 2022.11.19 部品番号追加


書込みの確認_アッセンブラ プログラム Timer0使用

プログラムの動作確認

確実に書き込めるか、簡単なTimer0でサイクルタイムを作る “Lチカ” のプログラムで確認してみました。プログラムはアッセンブラで書いた物で、コメントを入れてありますので参考になると思います。

プログラム確認機材

プログラム確認機材

 

まずは万全を期すため、書込み器の電源と正規PICKit3の電源共に外部電源を使用するようにしたUSBハブとブレッドボードを使い、プログラムの確認を行いました。

外部電源供給結線図

外部電源供給結線図

 

経験上“外部電源からVdd供給”と“PICKit3へのVddも外部電源から供給”する方法が一番安定して書き込みが出来る様です。他の方も書かれていますが、PCからのUSBによるVdd供給を切断して、代わりに外部からのVddをPICKit3に供給するようにします。結線図はこのようになります。

確認回路はこのような物です。

書込みアダプターの動作確認

PICKit3色々

PICKit3色々

 

次に出来上がったアダプターを“外部電源供給(PCのUSB)”で、正規PICKit3で書込みできることを確認し、“パチモンPICKit3”2種でPIC12F1822に書き込みできることも確認しました。

確認用器材

確認用器材

 

使ったPICは8Pin:PIC12F1822 ,14Pin:PIC16F1825 ,18Pin:PIC12F1827 ,20Pin:PIC16F1829 ,28Pin:PIC16F18857 ,40Pin:PIC12F18877 です。
本当は同一系列の物を使いたかったのですが、簡単に入手できるPICで8・14・18・20・28・40Pinの物が無かったためこのようになっています。

L_Chikaテスト回路

L_Chikaテスト回路

 

ASM Source_L Chika
各プログラムのソースファイルを載せておきますので、参考してください。
点滅サイクルはTimer0で発生させ、0.2秒または0.5秒の点滅サイクルで2つのLEDを交互に点灯させる簡単な物です。
接続回路図はこのようにして、出来るだけ統一するようにしました。

 

Timer テスト回路

Timer テスト回路

 

ASM Source_Timer
また別にPIC12F1501でTimer0・Timer1・Timer2を使って点灯させる“Lチカ”のプログラムも作りました。
私もそうだったのですが、Timer0・Timer1・Timer2の使い方で混乱している方もいらっしゃると思いますので、PIC12F1501を使用して各タイマーを使用してサイクルタイムを作る“Lチカ”のソースファイルも乗せておきます。出来るだけコメントを書き込んでありますので参考にしてください。

ついでですが、28Pinの書き込み接続で40Pinの書き込みも出来るとの話がありましたので確認してみたところ、この程度のプログラムであれば40Pin にも28Pinの接続で問題なく書き込めることが確認できました。但し、大きなプログラムを書き込む時に不具合が出るかもしれません。

組立について

組立で注意が必要なのは2色LEDと78L33の取り付けで、特に2色LEDの方向に注意して下さい。

ZIFソケットの半田付け時は、秋月さんのH.P.にもありますが“必ず切替レバーが立った状態(PICをセットしない位置)”で行ってください。ZIFソケットのPinを挟み込む部分が熱で融着し、最悪使えなくなることが有るようです。詳しくは秋月電子さんの“ZIFソケットの取り扱い説明”(https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-11743/)を参照してください。

USBコネクターの取り付けは、固定用の足を半田付けするようにしましたが、熱容量が多すぎるのか一般的な半田鏝では難しいようで、私は一枚基板をダメにしてしまい、最終的には二液エポキシで固定しました。(60Wのコテを使うと半田付けできました。)

半田付けした後、出来れば不意のショートを防ぐため、基板裏に絶縁用テープ等で絶縁処理しておいた方が良いでしょう。ポリイミドテープが良いのでしょうが、ビニールテープやPPテープなどでも良いと思います。その場合、極力基板裏に部品の足が出ないようにする必要があります。

最後にPICKit3とアダプターの高さ合わせを兼ねた、滑り止めシリコンゴムの低い足を付けておきました。

使用方法

1.  書き込むPICに合わせてコネクターを接続
2.  3PスライドスイッチでVdd供給方法を選択
3.  6PスライドスイッチでVdd電圧を選択
4.  PCとUSB-Aオスを接続
5.  USB-AメスからPICKit3等の書き込み器へ接続
6.  書込み器(PicKit3またはMPLAB Snap等)を6ピンL型ピンヘッダーに接続
7.  6PトグルスイッチをLED(緑)が点く方に切替
8.  ZIFソケットにPICをセットしレバーを倒し、書込み対象PICを固定
9.  6PトグルスイッチをLED(赤)が点く方に切替
10. プログラム書込み
11. 書込み終了を確認して、6PトグルスイッチをLED(緑)が点く方に切替
12. PIC取外し

以上です。

その他

この書込みアダプターを領付したいと思います。基板は11枚あり、基板のみ・キット・完成品の3種用意する予定です。用意が整い次第ブログでお知らせします。このホームページでも受け付けますが、ヤフーオークションにも出す予定ですので、ここのところの円安&半導体不足等で高くなると思いますが、必要な方は検討してみてください。

販売準備完了 2022.11.20追記

やっと全ての部品がそろい、販売の準備が完了しました。用意したのは3種類で、

半完成品

半完成品

 

1.半完成品:
半田付けとPIC12F1501で書込み確認し、フラックスの洗浄まですましたものです。
シリコン製ゴム足Φ8 x h5を4個付けておきますので、使用環境に合わせて張り付けてください。

キット_内容

キット_内容

 

2.キット:
全ての部品を含むフルキットです。部品取付前に半田面から部品の足が出ないようにするため、t1.2のユニバーサル基板が入っています。本付け前にこのユニバーサル基板に部品をセットして、余分な足を切り取る物です。この作業で、必要以上に部品の足が半田面に出ないようにし、絶縁処理をしやすくすることができます。

基板のみ_内容

基板のみ_内容

 

3.基板のみ:
基板とシリコン製ゴム足Φ8 x h5を4個が付いています。キットと同様に、t1.2のユニバーサル基板が入っています。

“キット”と“基板のみ”の場合、不測のショートを避けるため半田面に出る部品の足を極力短くする必要があります。そのため基板がt1.6ですので、付属するt1.2の基板を使用して半田付け前に部品の足をそろえておきます。

全てについて共通ですが、PIC書込み器に“MPLAB SNAP”を使われる方は、購入時にその旨連絡頂ければ “MPLAB SNAP” 用に別途シリコン製ゴム足Φ8 x h3を4個同封しますので、お申し出ください。
アダプターと“MPLAB SNAP”の高さがほぼそろい、接続部にあまり無理な力がかからないようになります。

見失っていた“MPLAB SNAP”が見つかりましたので、PIC12F1501のTimer2でのLチカで書込み確認を行ってみましたが、問題なく書き込みできました。

購入は質問欄からも出来ますが、支払い方法が“PayPay銀行”  “ゆうちょ銀行”  “地方銀行(栃木銀行)” になりますので “ヤフーオークション” に出品するようにします。
管理が大変なので各1個ずつ出品します。出品毎にオークションIDを記載しますので、検討お願いします。

書込み不良の原因

書込み不良の原因については良く“USBからの供給電圧が不足している”と云われますが、PICKit3から書込み電圧を供給すると0.15V程度電圧降下があり、ましてや“クローン”・“パチモン”では0.5V強の電圧降下が見られるものもありました。
出来るだけ書込み電圧は“余裕のある外部供給”にする方が良さそうです。今回作った書込みアダプターはPCからの電圧供給ですが、これで安定して書き込めなかった場合、別途余裕のある外部電源から供給するようにしてみてください。特に“ノートPC”を使用している場合、USBの供給電圧や供給電力が低い物があるようですので、注意して下さい。

また “PICKit3”に比較して“MPLAB SNAP”は電圧及び通信に関してシビアなようです。PICKit3で書き込めた接続で、MPLAB SNAPではMPLAB XIDEで認識できなく、PCからアダプターに接続するUSBケーブルを太く短い物に交換して何とか書き込めるようになりました。

私の持っている“正規PICKit3”はメーカーの推奨する電源改造を行っていますが、“PICKit3からVddの供給”に設定すると、結構な頻度で“書込み不良”になり、プログラム動作確認で時間を取られてしまうことが有るので、Vddは外部供給で行うようにしています。今のところ“クローンPICKit3”・“パチモンPICKit3”共に“Vdd外部供給”で書き込めています。

最後に

今回改めて各書込み器を使ってみましたが、使用する書込み器だけではなく、使用するUSBケーブルによっても書き込みが不安定になるようです。
使い勝手は悪くなりますが、各ケーブルは出来るだけ短く・太い(芯線)物を使用するようにしてください。
PICKit3が出たての頃書込み不良が多く「PICKit3に付属してくるUSBケーブルだとうまく書き込める」等の情報が出回っていましたが、今にして思えば付属してくるケーブルは太く短い為取り回しが悪く、私を含めて多くの方が取り回しの良い芯線の細いケーブルを使ったのではないかと思います。核心は“短く・太い” 損失の少ないケーブルだったのではないかと思います。

また“PICKit4”は高価で手が出せないため書込みの確認はできませんが、“MPLAB SNAP”で書き込めたので、問題なく書き込めると思います。
ここのところの“円安”や“半導体不足”で、正規の書き込み器が高くなったり品不足が続いていますが、PICKit3の“クローン”や“パチモン”だと何とか手が出ると思いますので、“Vdd 外部供給”方式だとPICで遊べると思います。

取扱説明書と組立説明書も出来ましたので、部品表付きの回路図と共に載せますので、必要な方はお使いください。

PIC Writing Adapter I 取扱・組立説明書

PIC Writing Adapter I_ver.1.0

PIC Writing Adapter I_ver.1.0

“書込みアダプター”も出来たことですので、次はいよいよ“植物育成LED照明”に取り掛かろうと思います。