購入までのいきさつ

 

 電子工作を趣味にしている方は結構気になってるはずの「直流安定化電源」ですが、皆さんは如何されていますか。

 私も実験用にAC-DCアダプターや直流安定化電源を使いますが、ちゃんとした電源は年代物のキクスイの18V-2Aの直流安定化電源しかなく、18V以上の時は36VのACアダプタに大陸製の充電モジュールを組み合わせて使っています。毎回むき出しの実験電源が少々気になっていましたが、しっかりした物は「引退したジサマ」には結構高価で購入を躊躇していました。

 が 何の気なしに「Amazon」を覗いていると結構使えそうな「直流安定化電源」が売っていました。最初気になったのは「HANMATEK HM305」という30V-5Aの物で、安価な物には設置されていない出力のON-OFFスイッチが付いている物です。評判も良さそうで価格も¥5,945と結構リーズナブルです。

 ただ たぶん大陸製でしょうから入力はAC115Vの設定のはずで、最高出力電圧は27V程度ではないかと思い質問してみると、「30Vは表示される」との回答をもらい「買うか!!」と思いましたが「できれば出力電圧36V以上の高電圧の物を買いたい」と「60V」の物を探しました。

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外観_パネル面

 

 残念なことに60V出力の物はこのメーカーでは見つからず、うろうろしていると「KKmoon NPS605W」という物を見つけました。なんと込々¥4,399です!! 同一メーカーの30V-6Aの「KKmoon NPS306W」に至っては¥4,099!!です。残念なことに「出力スイッチ」はありませんが、最大でも使用するのは2A程度ですので、入手後追加すれば良しとし¥300差ですので、60V,5Aはどうか?と思いますが、48V,2A程度であれば実用上問題ないと思いますので、60V-5Aの「KKmoon NPS605W」を購入することにしました。もしダメな物であっても、最悪改変すれば何とかなると思います。

 ついでに 先日購入した「USBオシロ MSO482」のプローブ調整ドライバーを探していた時見つけて「欲しいものリスト」に登録しておいた、「あわせ買い対象商品」だった「VESSEL セラミック調整用ドライバー 9000 -1.8X30」も購入しておきました。

 

 発注後「KKmoon」の直流安定化電源を調べていると「価格相応の品質」と書かれている方が多く、やれ「ネジがなめている」「中でカラカラ言っている」「半田付けがいい加減」とあります。
 『大陸製』の安価な物ですので、入手後「動作確認」したのち、期待できない「1年保証」はなくなりますが、「出力スイッチの増設」と、この手の物では使用するうえで必須の「再半田処理」と配線の確認を行うつもりです。

「KKmoon NPS605W」到着

 発注翌日到着しました。さすが「Amazon」です。大陸から購入する価格も調べましたが、Amazonから購入した方が格段に安く、入手までの日数も格段に短いのには驚きです。一体いくらで仕入れているのでしょうか?Amazonの手数料と送料を考えると¥1,500内外でしょうか、この価格ですから少々品質が悪くなるのは当たり前と思えます。この手の機器を購入する場合リスクが伴いますので、「自分で何とかする」ことが出来る方や、「楽しめる方」「諦めが付く方」以外「手を出さない」ことが肝心だと思います。

 よく評価でグダグダ書いているのがいますが、それほどの品質の物が欲しければ「しっかりしたメーカーの同等以上の製品」を数倍高く購入すればよいのであり、同じ土俵に載せ「あーだこーだ」と批判するのは勘違いしているとしか思えません。あまりにも自分勝手で大人げない言い分だと思います。

 さて 届いた「KKmoon NPS605W」ですが、結構しっかりとした梱包です。大陸から個人で入手した場合、まず外箱はつぶれていましたが、どうせ捨てる物ですし気にしません。

 中は緩衝材で保護されていて大丈夫そうです。開梱すると無傷の本体・電源ケーブル・出力ケーブル・簡単な取説が入っていました。

 電源ケーブルは3Pですので、ひとまずは変換プラグを使います。できれば日本向けは2Pの物にしてほしい物です。またこの電源ケーブルが太く、それほど電流も流れないのですから、もうちょっと細くしなやかな物を付属してもらえるとありがたいと思います。

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出力ケーブル

 

 また出力ケーブルですが、賛否両論あると思いますが、出力ターミナルに接続する方式は、バナナプラグではなく「Y端子」で接続するようになっています。この手の付属ケーブルは、接触分が回転式のバナナプラグを使用した物が多く見受けられますが、プラグが「接触不良」の原因になることが多く、この選択は好感が持てます。

 

いざ動作確認

 今までの経験から、初期不良が無いことを確認した後内部を確認して、不安があるところは手を加えることにします。

 さっそく動作確認です。まずネットで見かけた組立不良を確かめるため「本体」を振って、異音が出ていないことを確認しました。
 次に電圧・電流設定用の「主」と「微」のつまみを共に最小(反時計方向)に回した後、いよいよ電源投入です。出力端子にテスターを接続し、電圧を徐々に上げ表示を確認しましたが、他の方の報告にもある通り「電流調整ツマミを若干回して、CVランプが点灯する」ようにしておかなければ電圧が出力されませんでした。

 定電圧(CV)と定電流(CC)モードでの出力状態を手持ちの簡単なテスターで確認しましたが、結構表示はあっているようです。ちなみに最大出力電圧は61.5V,最大出力電流は5.17A程度でした。さすがにこの電圧・電流までは使いませんが、スペックはクリアーしているようです。

 動作確認中の写真を何点か載せておきます。

内部の確認及び手直しとスイッチ追加と変更

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改良前の分解状態

 

 確認のためいつものように分解してみると、半田は結構しっかり処理されていて、DIP部品の半田もしっかり処理されています。しかし、リード線の処理とケーブルの半田処理がいただけません。

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残念な半田屑

 

 また ケース内に半田屑があり、使っているうちに剥がれてショートする可能性もあります。せっかくここまで作り込んでいるのに残念なことです。

 リード線処理とケーブルの処理を行うので、この際出力スイッチを設定することにしました。

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FET及び温度センサー取付部

 

 分解は結構簡単で、サクッと出来ました。FETと温度センサーはシリコングリスで放熱用&基板支持用のアルミ板に取り付けられています。

 ネジはなめていませんでしたが、正面パネルとケースカバーを止めてあるネジはタッピングビスで樹脂部にねじ込んであり、ネジを外してみるとパネルの樹脂がネジに付いてきました。このまま再度ねじ込むとネジ穴がバカになるので、しっかりと取り去っておきます。ねじ込む時は一度販時計方向に回し、カックとはまり込むところからねじ込むようにすると、ネジ穴がバカになりにくくなります。

 電源電圧切替スイッチは使う必要が無いので取外し、繋がっているコネクタのピンをショートしておきます。

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変更する電源スイッチと加工前の取付穴

 

 この切替スイッチの穴を加工して電源スイッチを取り付けました。

 私の手元に届いた電源の電源電圧切替スイッチの穴は□6 x 12でした。この穴が電源スイッチに利用できそうです。案の定Amazonの口コミにも載っていましたが、その方が使用されたスライドスイッチは¥614もします。
 昔(50年以上前ですが)はスライドスイッチは入手しやすい部品でしたが、近頃は電源スイッチに使えるものはあまり入手性は良くないようで、いろいろと調べているとマルツさんにある「【KCD1-110-101011BBA】小型波動スイッチ タブ端子」が追加工も少なく済みそうです。

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電源スイッチ取付穴_加工後

 

 スイッチ一つを通信販売で買うのも送料がもったいない(部品は¥200ぐらいで送料が¥300ではなんだかなーです)為、何か手持ちに有りそうでしたので、探してみると昔買った「ロッカースイッチ」がありました。取付穴は□12.5 x 19です。ケースはアルミ製ですし「引退したジサマ」は時間だけはあるので、時間をかけて金ヤスリで穴を広げて取り付けるようにしました。

 広げた角穴に配線を変更して、手持ちのロッカースイッチを電源スイッチとして取り付けました。

 元々電源スイッチだった、パネルのプッシュスイッチを出力スイッチに利用しました。電源及び出力の配線は太い物で配線されていましたが、電流を考えるとここまで太い必要な無いと判断し、取り回しの良い細めの物に変更しました。

 本当はバリスタ等のサージキラーを追加設置した方が良いのでしょうが、近頃物忘れがひどくなり、持っていたはずの物が見つかりませんでしたので、そのうち出てきた時に追加するつもりです。

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改良終了後の内部

 

 DIP部品の半田もリード線の処理を除けば、基板洗浄もされているようで問題の無いレベルだと思います。とりあえず基板に取り付けられた部品の余分なリード線をカットし、「IPA」で基板をザっと洗浄した後、各コネクタと配線を済ませ無事終了です。

 電源を投入して電圧・電流を確認しましたが、問題なく動作しました。

所感

小型で軽量なスイッチング電源ですので、これで「非力なジサマ」は回路の実験が楽になります。

電圧・電流調整がシビア等 若干問題点もありますが、この価格でこの性能であれば「大いに良し」だと思います。

 電源に要求される品質のノイズ・リップル等と、耐久性などについてはまだ未確認ですが、後々確認して改良するつもりですが、今回購入した「KKmoon NPS605W」は『当たり』だったと思います。
 ある程度経験のある方であれば、「大陸製(中華製)直流安定化電源」を選択肢に入れても良いのではないかと思います。

注記!!
 但し 「改良・改善」をお勧めするわけではなく、『お決まり』ですが「内部を開けたり」「改造したり」すると当然製品の保証はなくなりますので、あくまでも『自己責任』になることをお忘れなく!!(どの程度の保証が利くのか疑問ですが・・・・・)