毎日毎日うるさいほど騒がれている「コロナウィルス」ですが、外出時にはマスクの着用が常識化している気がします。但しそのマスクの取り扱いには疑問が残り、特に数日おきにスパーへ買出しに行っているカミさんは、「コロナ感染」のリスクが高いと思います。

 そこで「UV-C+オゾン殺菌」で感染リスクを最小限にすることを目的とした「殺菌BOX」を作ることにしました。私の済んでいるところは何処に出かけるにしても「車」必須の地域です。特に車内は狭く、若しマスクがウィルスに汚染されていたとすると、一発で感染すると思われますので、自宅&車どちらでも使用可能な物にしたいと思います。

 携帯性を考えるとUVはLEDで照射するのが良いのでしょうが、殺菌として作用するのは300nm以下でなければあまり効果は得られないようで、この領域のLEDもあるにはあるのですが非常に高価なうえ、発光部の封止材に樹脂を使用していたりして、効果のほどが??なものが多く、若しちゃんとした物でも単波長であるため「オゾン」の発生は望めません。そのこともあり、今回は電球型10V・3W口金E17のUV-Cランプを使用することにしました。
 このタイプには、たぶん封止材のガラスの材質によってなのでしょうが、「オゾン発生タイプ」と「オゾン無生成タイプ」があるようですので、両方を使ってみることにします。

ウィルス等の殺菌について調べてみました。

 今回作ろうとしている「殺菌BOX」ですが、殺菌について「紫外線」と「オゾン」の2種について調べてみました。

1.紫外線(UV光)

 「大阪府立大学 研究推進機構 放射線研究センター 准教授 秋吉 優史氏」のHPや岩崎電気のHPにある「紫外線殺菌」に詳しく記述されています。222nmが良さそうですが、まだ個人が入手できるような物ではないようですので、265nm近辺のUV-Cで考えました。
 市販されているUV-LEDは殆んどが400nm内外の物で、300nm以下の物はあまり見受けられません。また少数ですがUV-C領域のLEDも有りましたが、LEDの封止材に樹脂を使用している物が結構多く出ていますので、UV-Cが出力されているとしても非常に非力な物になっていると思われます。その上UVは樹脂等劣化を進める筈ですので、今回は「UVランプ」を使用することにしました。
 実際に殺菌に必要な時間は数秒程度のようですが、出来るだけ長く照射するようにしたいと思います。

 調べていくうちに「殺菌灯で紫外線を照射すると消臭効果もある」と書かれている記事が散見できましたが、紫外線には「消臭効果」はないはずですので、たぶん紫外線発生時に、微量ですが生成されるオゾンの効果によるものと思います。

2.オゾン

 結構有望視されている殺菌方法ですが、有毒ガスですので注意が必要とのことです。

「日本獣医子学会 オゾン脱臭に伴う危険性について」を読んでみると、オゾンの殺菌効果はオゾンそのものより、オゾンの分解過程でできる活性酸素によるもののようです。ここではオゾンそのものは「自己分解速度(半減期)は,大気中で数~10数時間といわれる。」,「オゾンそのものは臭気を緩慢にしか分解できないが活性酸素は臭気を瞬時に分解できる。」,「我々がオゾン発生直後の室内に入り臭いが消えたと感ずるのは,オゾンそのものが嗅覚細胞を麻痺させて人体に有害な“臭覚麻痺に基づく無臭効果”が得られることも一因と予測される。」とも記載されています。
 注意するに越したことはありませんので、オゾン臭が抜けてから殺菌対象物を取り出すようにします。
 可能であれば「オゾンセンサー」なる物を購入して、ある程度オゾン発生量を調べてみたいものです。

口金E17 UVランプ到着

2種類のランプとソケット

2種類のランプとソケット

 

 某国に発注していた「UVランプ(口金E17)」が届きました。が ここでひと悶着有りました。2種類のランプを発注したのですが、来るには来ましたが、どちらが「オゾン発生型」なのか「オゾンを発生しない」方なのかの表記がありません。

 

2種類のランプ

2種類のランプ

 

 問い合わせてみると、最初ちんぷんかんぷんな回答が来て、再度画像付きで問い合わせてやっとわかりました。画像の右側袋に貼ってあるシールに「LG08890A1」の表記のある物が「オゾンを発生するタイプ」で、シールに「LG08890B1」の表記のある物が「オゾンを発生しないタイプ」とのことです。確かに「kohacraftのblog」で紹介されている画像を見ると中文でも表記されていますので、間違いないでしょう。

 

口金の塗り分け

口金の塗り分け

 

 最終的には「オゾン臭」で判断しますが、メーカーのランプ本体にある表記では判断しにくい為、「オゾンを発生するタイプ」の口金の後ろを、マジックで赤く塗っておきました。

 

 さて 早速手に入れたUVランプを、昇圧・降圧型CV・CCコンバータに繋いで点灯してみます。今回のモジュールは比較的半田処理がきれいですが、実験終了後DIP部品の再半田処理と、基板洗浄をするつもりです。
 「kohacraftのblog」で紹介されている「E17殺菌電球を光らせるのにはコツが必要でした」を参考に、この電球を点灯させてみます。
 ただここで紹介されている「1W LED用定電流モジュール」ですが、色々と調べてみると何種類もあり、中には耐電圧が足りない物もあるようですので注意が必要です。使用されている定電流ICはほぼ「CL6807」の様なので入力電圧は35Vまで大丈夫なのですが、入出力電圧の上限は使用している電解コンデンサの耐圧に依存しますので、十分注意してください。最悪の場合電解コンデンサが破裂して異臭が漂います。特に入力12Vと謳っている物には注意が必要です。最低でも耐圧35Vの電解コンデンサを使っている物を選んでおくと無難です。

確認試験

確認試験

 

 私は昇圧・降圧両用の定電流・定電圧モジュールを使用しました。設定はCC=300mAとして、点灯可能電圧を調べてみました。

 

 電球はインスタントコーヒーの空き瓶に入れ、その上から某国御用達のビニール封筒を被せて、隙間から漏れる光で点灯を確認するようにしました。
 ご存知のように、紫外線を直接目にすると最悪失明します。一般のガラスは紫外線の透過率が低くほとんど透過しないといわれていますが、全く通さないわけではありません。その証拠に窓ガラス越しでも日の当たるところにある畳やフローリングは変色してしまいます。十分に注意して点灯させるようにしてください。

CV値設定

CV値設定

 

 まずは「オゾン発生をしない」と謳っているUVランプからです。念のため設定電圧を15Vにして、一度点灯させた後カバーを外してみると、電球の下側が白く曇っています。「もうだめになったのか」と思い、またカバーをかぶせてしばらく点灯させた後見て見ると、曇りが取れています。どうも最初のうち、フィラメントに付着する不純物等が揮発してガラスに蒸着し、しばらくして温まると消えるようです(この現象は次に点灯させてみた「オゾン生成ランプ」でも置きました)。

 

  設定電圧を16Vから0.5V刻みで下げながら点灯させてゆくと13.5Vまでは点灯しましたが、13Vでは点灯しなくなりました。
 このことから余裕をもって、設定をCV=15V,CC=300mAとしました。

 

 次に点灯する印加電圧の変化を見て見ます。データロガーで採れば良いのですが、設定が面倒なので、今回は「ミニオシロ DSO138mini」を使いました。

 結果は14V近辺まで電圧が上がり、点灯すると10V近辺に下がってほぼ安定しました。見ているところはランプの両端です。たぶん電源回路の関係からアースは浮いているでしょうから、オシロの電源はモバイル電源を使用しています。

 これで「マスク殺菌BOX」の制作が可能な事が分かりました。

 さて 今度は「オゾンガスを発生する」と謳っているUVランプで試してみます。ランプ交換のためガラス瓶を外し臭いをかいでみると、ほのかに「オゾン臭」がしています。「オゾンを発生しない」と謳ってはいますが、全く発生しないのではなく「少ない」様です。それは前にも書きましたが、オゾンを発生させる184nm以下の紫外線を透過しにくい材質のためでしょう。
 「オゾンガスを発生する」ランプを点灯させ、ランプの覆い取ってみると、結構きつい「オゾン臭」がしました。濃度の濃いオゾンは健康上良くありませんので、注意してください。作業環境では0.1ppm以上のオゾンは有害とされています。

 UVランプはオゾンを発生するタイプと発生しにくい物の2種類を使い、最初は両方点灯させ、紫外線による殺菌と共にある程度BOX内のオゾン濃度を上げ、濃度が上がったところでオゾンを発生させるUVランプを消灯し、オゾンの濃度が下がるまでオゾンが発生しにくいランプの紫外線で殺菌するようにします。
 オゾンは他の物質と反応して酸素になりますので、マスクや壁面等と反応し分解してゆくものと考えています。特に水分を含んだマスクは効果的なのではないかと思います。
 その上オゾンには消臭効果もあるため、使用済みのマスクに付いている臭いも除去でき、一石二鳥になるはずです。
 また 安全上リミットスイッチを設置し、密閉されていない場合(蓋を閉じていない)ランプの電源が入らないようにします。但し庫内空気撹拌用のファンは、リミットスイッチが作動しても止まらないようにしておくつもりです。