近頃 歳のせいかTVの音が聞こえにくくなってきました。なんとなくネットをうろついていると、マトリックス接続でTV用マトリックススピーカーを作っている方を何人か見かけました。サラウンドになるようですし、面白そうですので作ってみることにしました。
家のTVは12年前に建て替えのポイントで購入した、今どきでは小さい方でしょうが東芝 REGZA 32A900Sという32”の液晶TVです。あまり目立たないように小さく&安価に作って、最終的にはTVのアンプ直入力で駆動させたいと思います。
マトリックススピーカーは3または4個のスピーカーを使い、“小さくなおかつ安価でフルレンジの物”が必要だとのことです。“秋月さん”で取り扱っている物の評判が良いようですが、8cmまたは10cmです。
もう少し小さい5cmぐらいの物は無いかと調べてみると、ダイソーのスピーカーの評判が良いようです。だいぶ以前より“音が良い”と話題になっていたようですが、さっそく近所のダイソーさんへ行くと運よく在庫があり、取り敢えず1Set購入してきました。
帰宅して、さっそくPCに繋いで聞いてみると結構ちゃんと鳴っています。確かに“低音が出ない・シャリシャリ鳴る”とうとう言われているようですが、“300円でアンプまで付いてくる“のですから”コスパは最高“ではないのでしょうか。
単体での改良
“ちゃんと鳴る“事が分かりましたので、追加で2Set 購入してきました。このスピーカーを色々と改良されている方が多々居られ、様々な方の情報を基にまずは単体で改良してみます。
スピーカを分解してみると、私の購入した物は古い基板形状の物のようです。基板のRch・Lchが逆の場合があるようですが、ちゃんと接続されていました。
が 半田付けがとんでもなくいい加減で、今にも取れそうなところがありました。それに他の方も指摘されていますが、スピーカーの配線が異様に細く、USBの電源ラインや入力信号線と同じなようです。アンプの入っているスピーカーへの配線は被覆が薄く、他方へのケーブルは被覆が厚いのですが、芯線の太さは同じでした。
ハイパスフィルターの定数変更
入力に入っているRch :C3・R3とLch:C4・R2で構成しているハイパスフィルターの定数を変更します。付いている物は他の方も指摘されているようにC3・C4:0.1u,R2・R3:6.8kで、f0 = 1 / ( 2 x π x 6,800 x 0.1 x 10-6 )≒ 234Hzですので低音域は全くなくなっています。そこでC3・C4を1uに変更しました。
本当はフィルムコンデンサーやアルミ電解コンデンサーが良いのでしょうが、手持ちの関係で1u / 20V のチタコンを使いました。有極コンデンサーをカップリングに使う場合、理屈は分かりませんが、マイナス極を入両側に接続するようにするようです。
この状態で聞いてみると、さっきより低音が出てきたような気がします。
ついでに余ってしまう内蔵アンプの内1台を、百均で買ってあったケースに入れてみました。出力は手持ちのRCAコネクタを使って、そのうち作るであろうスピーカーを簡単に繋げるようにしてみました。
スピーカーボックスを変更して吸音材を追加してみる
最終的には付いて来たボックスは使わないので、もう一組分解して、アンプが入っていないボックスを2個使用し、アンプ部を外置きで試して見ます。
スピーカーケーブルの出し口は、固定を兼ねてホットボンドでふさいでおきました。アンプが入っていないボックスを2個使うのは、アンプのボリュームの穴をふさぐのが面倒だったからだったりします。
ついでに吸音材として、手持ちのスポンジを入れてみました。
結果は、ある程度低音も出ているようですし、高音もシャリシャリ感が弱まった気がします。
マトリックス接続
合計4個のスピーカーを使って、懸案の“マトリックススピーカー”接続を確認してみます。アンプは付属してきたアンプを使いました。
左右のスピーカーは低音域を大幅にカットする様ですので、前の行程で余ったアンプ内蔵用ボックスを利用し、養生テープでボリュームの穴とバスレフダクトをふさぎ、スポンジを詰め密閉型としました。
低音域をカットするのに使うコンデンサーですが、無極性の33uは手持ちがありませんので、本当は 68u が良いのでしょうが、手持ちに無く取り敢えずアルミ電解コンデンサー 47u / 35V を2個シリーズで23.5uとして使いました。この時+極同士を繋ぎ両側の-極を割り込ませるとのことです。これを2Set作り左右のスピーカー配線に割り込ませました。
結線図は「湘南電波研究所(SRL)」さん(URL;http://www11.plala.or.jp/srl/rt/returns.html)を参考にして、
このようにしました。
結果は、私の耳ではよくわかりませんが、良いような気がします。
いよいよ“TV用マトリックススピーカー”製作
スピーカーボックスは加工の簡単な“MDF”という“ダンボール”を圧縮し固めたようなものを使い、組立は“木工ボンド”を使うことにします。また配線はたぶん車のDIY配線用だと思われる0.7Sqの赤 / 白二本になった物を使い、接続コネクターは手持ちの“RCA端子”を使うことにします。
構造はセンターが“ダブルバスレフ”としてf0 = 97Hzぐらいのはず、左右は低音域をカットするので“密閉型”としました。
使用するMDFの厚みは入手しやすい t = 9mm としています。百均のt = 6mm とも思いましたが、組立が大変そうなのと、上に載せるTVが結構重いこともありt = 9mmとしました。
板取をしてみると □900mm一枚から板取できました。
近所のHCで一枚1,000円強で購入してきて、早々に切断します。スピーカーの穴はΦ52ですが、手持ちのホールソーはΦ50でしたので、Φ50で穴をあけた後スピーカーが嵌る様に表面側をカッターナイフで整えましたが、MDFはやわらかく加工は楽でした。
底板に内部に入れる板の位置を記し、それぞれの板にたっぷり木工ボンドを付けて置いてゆきます。
この時内部への木工ボンドのはみだしはそのままにして、外部へはみ出した木工ボンドは固く絞った濡れ雑巾でふき取るようにするとのことです。こうしないと、塗装時の仕上がりに影響するとのことです。
側板は底板に養生テープで仮止めし動かないようにしてから上板を乗せ、その上に荷重をかけ接着剤が乾くまで、一晩おいておきました。私は適当な重しが無かったので、4Lのペットボトルに水を入れた物を載せられるだけ載せて(8本載りました)おきました。
配線
翌日接着剤が乾いているのを確認したところ、うもボンドが固まるときの収縮で位置がずれています。
もう後には引けませんので多少の位置ずれには目をつぶり、見えるところの接着ズレを紙やすりや木工ヤスリで整えておきました。
木工ボンドは接着面に薄く均一に塗って貼り付けたほうが良さそうです。内部にも吸湿防止のため軽くラッカースプレーで塗装しておきました。
塗装が乾燥したのを確認して、いよいよ配線です。
各スピーカーユニット間を配線し、
必要と思われるところにスポンジシートを貼り付けました。確認が完了するまで天板は接着しないでおきます。
天板の上に重し代わりに4Lのペットボトルに水を入れた物を載せて、元々スピーカーに付いていた内蔵アンプを改造したアンプで音出ししてみましたが、低音部が前より出ているような気がします。
吸音材を入れ替えたりして試して見ましたが、私には違いが判りませんでしたので、適当に吸音材(スポンジ)入れて天板を接着して、塗装してみます。
塗装の前処理として、全体を#240のやすりで表面を整えておきました。
MDFは塗料を吸い込むので前処理が必要との事でしたが、面倒なので「エイヤ」で黒のラッカースプレーで塗装してみました。
暑い時期で(8月上旬で、最高気温35℃のカンカン照り)、日陰でさっとスプレーして日向に出し、塗料が吸い込まれる前に乾燥するようにしてみましたが、最初の2回ぐらいまでは“失敗だったか?”と思いましたが、3回目・4回目と回を重ねてゆくと、結構何とかなりました。
最終的にホームセンターで228円で買った、PBのアクリルスプレー(300mL)一本で塗装は完了できました。
後で気付いたのですが、私はスピーカー入力用のRCAコネクターに取り付けましたが、左右のスピーカーに繋いだ“低音カット用コンデンサー”はスピーカーに直接つけておいた方が何かと便利だと思います。
TV 内部清掃&改造
購入後12年たってすでに保証のないTVですので、内部掃除を兼ねて音声出力部を改造します。
電源コードを抜いてから30分程度置き、外部の各配線を外した後TVを10数年ぶりにTV台から降ろし、裏面の埃を掃除機で吸取り裏蓋を取り外しました。
今まで一度も掃除したことが無かったので、物凄いことになっています。出来るだけ掃除機で埃を吸取った後、細かい所の埃を筆で払いながら掃除機で吸取りました。
ある程度掃除し終わったところで、内部スピーカーの配線を外し、スイッチで内部スピーカーと外部スピーカーの切替が出来る様に改造しました。
本当は別途外部アンプを使った方が良いのでしょうが、別電源を用意するのも何ですので、今回はTVのアンプに直接接続するようにしてみました。外部スピーカーへの出力としては、RCAコネクターを追加しておきました。
所定の結線を済ませTVを点けてみると、心なしか良い音がしているような気がします。その上、今までよりもTVボリュームを小さくしても聞き取りやすくなったように感じます。これは“フラシーボ効果”なのかもしれませんが、一定の満足感は得られました。
余ったMDFですが、またこのスピーカーを使って、小さなバスレフのステレオスピーカーでも作ってみたいと思います。